バイトが終わってすぐ、病院に向かった。
今日は検査が
あるらしく、その検査はかなり痛い。 そのため付き添いとして
俺が行くことになった。 母親は仕事だ。
午前中という話だったので、ベッドの横にあるパイプ椅子で
待っていた。 壁には今日の日付で、検査があることが書いて
あったが、時間の欄は何も書いていなかった。
二時間待ったが
まだ検査は始まらなかった。
徹夜仕事で疲れていたので、椅子に座ったまま眠って
しまった。 同室の年寄りが嘔吐する音で目が冷めた。
それから二時間ほど、その音は続いた。
やっと検査は始まった。 その間、俺は部屋で待っているだけだ。
30分で終わり、帰ってきた父親は「えらい目に合った」と言って
いた。 腹からぶら下げられた、緑と黄色の液が入ったビニール
パックが無くなっていた。 これからは、腸から漏れる何かは
循環していくだろう。 検査もついでに終わったらしい。
母親が来るまでは付き添いを続けないといけない。
また二時間寝た。 また嘔吐する音で起きた。
健康なはずなのに
吐き気がしてきた。 父親は今日何度目なのか、また寝ている。
いきなり父親が目を開き、ボタンを押すようにと言った。
とりあえずナースコールを押したが、何が起こったか分からない。
しかし、すぐに父親は震え出した。 ガクガクと体を震わし、
だんだん酷くなる。 ベッドがきしみをあげるころ、やっと看護婦がきた。
「検査の影響でこれから熱が出そうだね」
そう言って、電気毛布を持ってきた。
最高温度に設定したが、
それからもベッドは揺れ続けた。 すぐにまた、同室の老人が
吐き始めた。
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